中途採用を成功させる!採用計画・スケジュールの立て方

中途採用を成功させる!採用計画・スケジュールの立て方

空前の売り手市場が続く採用市場。厚生労働省による2019年4月の有効求人倍率は1.63倍、リクルートワークス研究所「中途採用実態調査」によると、2018年下半期における「中途採用で必要な人数を確保できなかった」と回答した企業は49.9%となり、比較できる過去6年間で最も高い数値となりました。

依然続く売り手市場の採用マーケットにおいて、企業が採用を成功させるためのカギは一貫した採用計画に基づいた採用戦略とスケジュールにあります。中途採用の基本を踏まえた採用計画の立て方について見ていきましょう。

中途採用計画の基本

中途採用を計画するにあたり、まずおさえておきたい採用計画の基本的な内容と中途採用市場について見ていきましょう。

採用計画とは?

採用計画とは、事業計画や経営方針などを踏まえて、「どの部門」に、「いつ」「どんな人材を」「何人」採用するかについて計画を立てることです。採用計画の最終目的は事業の成功。そのためにも事業計画に基づいた各部門とのすり合わせが重要です。

採用計画は採用そのものを成功させるための大切なプロセスです。採用計画立案なしには人材確保自体が難しく、採用目標人数達成だけでなく人材の質確保も難しくなり、現場でミスマッチを起こす可能性が高くなります。

中途採用とキャリア採用の違い

中途採用とキャリア採用の違いに頭を悩まることもあるのではないでしょうか。

「中途採用」が新卒者以外全ての人を採用ターゲットとしているのに対し、中途採用対象者のなかでも特に一定・特別なキャリアを有する人材の採用が「キャリア採用」と表現され、主に即戦力を求める採用で使われます。

これまでも中途採用は多くの企業でおこなわれてきましたが、「一定のキャリアを有した人材と、そのほかの新卒以外の求職者を一緒くたに中途採用とするのは適切でないのでは?」という風潮が高まり、採用ターゲットへの配慮から「キャリア採用」と呼ばれるようになりました

2019年現在の中途採用市場

2019年の中途採用市場は、引き続き売り手市場となることが予測されています。

リクルートエージェント「企業人事600人に聞いた2019年中途採用の計画」によると、中途採用を「増やす」と回答している企業は全体の33.4%であるのに対し、「減らす」と回答している企業は全体の8.3%となっています。

特にメーカー・サービス業で積極的に中途採用を予定しているところが多いようです。また急激なICT化の影響もあり、業界を問わず職種ではエンジニア系の採用が活発で、エンジニア採用には苦戦が強いられる可能性が高いと言えるでしょう。

中途採用におけるスケジュールの基本

これらの中途採用の基本と市場を踏まえ、採用成功に必要不可欠な採用スケジュールのポイントはどこにあるのでしょうか。

中途採用の採用フロー

採用計画の立案にあたっては、まず採用フロー(採用の流れ)を把握し、それに基づいたスケジュール管理が大切です。一般的な採用フローは次の通りです。

このように中途採用には検討から実際の採用まで、さまざまなプロセスがあります。いつまでに採用をしたいのか、採用希望時期からフローを逆算して採用スケジュールを組んでいきましょう。

採用フローを検討するにあたっては、各部門や担当者とのすり合わせも忘れずにしておきましょう。

役員や採用部門の担当者など、一連の採用活動にはさまざまな立場の人が関わります。出張や休暇などで長期不在がないか、繁忙期ではないかなどしっかり確認をしておきましょう。

求人倍率はボーナス後・年度末に上がりやすい

採用スケジュールを検討する際に意識しておきたい求人倍率は、ボーナスが出た7月・12月、年度末の2〜3月前後に上昇する傾向にあります。

転職を意識するときには「ボーナスをもらってから」「キリの良い年度末まで」と考える人が多いため、その時期の転職市場がアクティブになります。つまりその頃の採用はライバルも多く、採用活動が苦戦しやすい時期とも言えるでしょう。

中途採用計画のポイントは計画前にアリ!

中途採用計画のポイントは計画の前段階にあります。実際のポイントについて、具体的に見ていきましょう。

自社の事業・経営計画を把握する

採用をおこなう目的は、自社の事業計画達成です。そのため人員計画を立てる場合は、自社の事業・経営計画を把握し理解しておくことが大切です。事業・経営計画を鑑みながら、「いつ」「どのような人材が」「どの部門に」必要なのか検討していきましょう。

人材算定方法にはマクロ的な「トップダウン」とミクロ的な「ボトムアップ」の2つの方法があります。

「トップダウン的手法」は、労働分配率や人件費率など、採算性から検討する方法です。人件費の総額から算出された人数を各部門に振り分け、人員の配置や補充を決定します。

一方「ボトムアップ的手法」では、部署ごとに必要な人員をヒアリングし、人材配置を検討していきます。

経営サイドと現場サイドで人員ニーズは異なります。採算性の点から現場で必要とされる人員の補充が難しいケースや、逆に現場の増員が必要不可欠で、経営陣に現場の声を伝えることが必要なケースも出てきます。双方の要件をしっかりすり合わせながら、人員計画を立てていきましょう。

市場を知る

採用計画の立案に当たっては、採用活動を検討している時期に人が採用しやすいのか、またどのような動きがあるのかなど、中途採用市場を知っておくことも大切です。

次の表は平成30年1月〜31年1月までの求人・求職・および求人倍率の推移を示したものです。

参照元:https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000485205.pdf

上記の左図が示す通り、平成21年以降求人数・求人倍率は急激な右肩上りを示しており、また右図からは昨今の中途市場採用が年間を通して高い水準で求人数・倍率ともに推移していることが分かります。

また経団連が新卒採用における指針を廃止したことにより2021年卒の新卒採用スケジュールも従来通りとならない可能性があり、中途採用のスケジュールにも影響があることが考えられます。
採用スケジュールを検討する際には他社の新卒採用の動きにも注意が必要です。

ターゲットを知る

中途採用を成功させるためには、採用ターゲットについて知っておくことも大切です。エン・ジャパンの「2019年 転職・仕事観についての調査」によると、20代が転職の際に重視するポイントは次の通りです。

20代が転職先を選ぶ際に重視すること (重視するポイントが高い上位10項目)


 重視するやや重視するあまり重視しない重視しない
仕事内容51%31%16%2%
勤務地60%21%12%7%
事業内容39%37%20%4%
給与・年収36%36%22%7%
社風34%36%22%7%
休日51%18%21%10%
業界39%28%25%7%
企業の将来性23%38%29%9%
オフィス環境25%30%31%14%
社会貢献度18%34%29%19%

また同調査において、20代と30代前半で転職先を選ぶ際に重視するポイントについて比較したものが次の表です。

年代別転職先を選ぶ際に重視すること (重視・やや重視するの合計)


 20代30代前半
休日69%59%
社風70%65%
給与・年収72%62%
裁量権51%36%

上記の表から、20代が転職先を選ぶときに重視するポイントは「仕事内容」「勤務地」「事業内容」であることが分かります。

また20代は30代前半世代よりも裁量の大きさや給与・休日など条件面もポイントにしていることから、同じ質の人材を想定した場合、20代の方がこだわりが強く、採用がしにくいと言えるでしょう。

これらの傾向は業界や市場状況などによっても異なりますが、採用計画においては自社の採用条件とターゲットの希望や転職への志向を照らし合わせることも重要です。ターゲットの希望と採用条件にズレが生じている場合は採用が困難となり、場合によっては条件面の見直しが必要になる可能性もあります。

採用目標を決定

まずは「採用目標・目的」を明確にします。

事業計画を把握した上で各部門からのヒアリングをおこない、下記内容について具体的な数値化・言語化をしていきましょう。

・職種ごとの必要人数
・どんな仕事をしてもらうか
・必要なスキル
・採用したい人物の傾向や特徴、パーソナリティ
 など

採用目標や目的がしっかり定まっていないと、採用過程においてブレが生じてしまいます。採用計画の核となる部分になるので、しっかり明確にしていきましょう。

「求めない人材」を決める

採用目標・目的が決まったら、その条件に沿った「求めない人材」を決めます。通常企業は「求める人材」を決めようとしますが、どの企業も求める人材像は「コミュニケーション能力が高く、分析力があり…」など類似してしまいます。

ターゲットとなる転職希望者もある程度企業に求められる人物像が想像できるため、しっかり準備をすることで応募者の本質が見えにくいというリスクも考えられます。

そのため「求める人材」のかわりに「求めない人材」を決めることによって、採用ターゲットの本質的な変わらない部分を見極めやすくなりミスマッチも起きにくくなるでしょう。

母集団形成のための採用媒体・ツール・予算を決める

ある程度採用活動に入る準備ができたら、採用母集団形成のための媒体やツールを具体的に検討し、採用予算を決めていきます。もしくはその逆、決まった採用予算から、採用媒体やツール類を検討していくということもあるでしょう。

大きく分けて、ハローワークや学校求人など「無料」のものと、民間の転職サイト広告や人材紹介など「有料」のものがあります。

実際に転職者はどのようなサービスを利用しているのでしょうか。

厚生労働省「平成29年雇用動向調査データ」によると、転職者の利用したサービスは、転職サイトなどの広告が約3割を占めていることが分かります。

参照元:https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/jinzai_symposium/1.pdf

転職サイトは「リクナビNEXT」や「DODA」など大手総合転職サイトのほか、キャリア重視の「ビズリーチ」、エンジニア採用どに欠かせないIT・Web業界に特化した「Find Job!」、SNSの特性を生かして情報がシェアされやすい「Wantedly」、20代や未経験者に強い「ハタラクティブ」など、年代や業種に特化したサービスもあるので自社のニーズにあったサービスを選定しましょう。

そのほか転職希望者と直接会うことのできる「マイナビ転職フェア」「就職博」などの転職イベントなども効果的です。

またAIを利用した採用システムの活用や、社員の紹介や知人を通じてダイレクトに採用をするリファラル採用、Linkedinなどの媒体や専門会社・スカウトメールなどにより希望する人材に直接アプローチをおこなうダイレクトリクルーティングなど採用方法も多様化しており、高い採用予算をかけなくても優秀な人材を採用できる可能性も広がってきています。

選考方法を決める

母集団形成のためのツールを選定し採用ターゲット像が固まったら、ターゲットを評価するための要素を決めていきます。絶対必要な要素・あると望ましい要素、また求めない要素をなど応募者を見極めるための要件を細分化し、チェック項目などを応リストアップしていきましょう。

ターゲットのチェック要素(求めない要素)の例

あてはまるややあてはまるあまりあてはまらないあてはまらない
周りと協力できない

自己主張が強い

自分と異なる考えを認められない

ターゲットのチェック要素(評価要素)の例

評価項目定義要素重要度
柔軟性対応力適性MUST
リーダーシップ周囲を巻き込む力能力WANT

要素の定義が完了したら、それらの要素を見極めるためにどういった選考方法が適しているのかを検討します。

書類選考を実施するか否か、オンラインでの適性テストもしくは別のテストを利用するのか。面接は採用担当者・現場マネージャー・役員など何回、どんな立場の人が面接をするのか。

もしくはグループ面接や配属となる予定のメンバーとのグループディスカッションを取り入れるかなど、評価したい要素ごとに具体的な選考方法決め、採用基準となる合格ラインを設定していきましょう。

スケジュールを決める

採用ターゲットや母集団告知時期、選考方法などが固まったら採用スケジュールを決めていきます。入社が必要な時期から逆算していつから募集をかける必要があるのか、面接スパンはどれくらいにするかなど具体的にスケジュールに落とし込んでいきましょう。

最近では新卒・中途採用問わず採用スピードは早まり、募集から内定までは短期決戦となる傾向にあります。これには応募者側の「早く決めて転職活動を終えたい」という思いから、早めの内定が企業側にとって有利となるケースが多いという理由があります。

逆になかなか内定を出さず、「もう少しいい人がいるかもしれない」と採用を長引かせていると、採用初期に出会った良い人材が他社へ流れてしまうリスクが生じます。

採用スケジュールを決める際には採用活動方針も踏まえてしっかりシミュレーションし、良い人材との出会いを無駄にしないようにしましょう。

中途採用を成功させる採用計画を立てよう!

中途採用を成功させるためには、採用計画が大切です。
「事業計画」「現場ニーズ」「ターゲットの志向」「採用市場」「過去の課題」をしっかり把握し、全体スケジュールを俯瞰で見すえながら必要な採用媒体やツール、採用方法に落とし込んでいきましょう。

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